フサイチリシャール (朝日杯フューチュリティステークス)

今年の朝日杯フューチュリティステークスは、ハイペースで流れたここ数年とは異なって、平均ペースでゆったりと流れました。それでも勝ちタイムは1分33秒7とだいたい例年と同じぐらいで、有力馬にスプリンターよりのタイプの馬が少なかったこともあり、人気上位馬が上位を独占して力を示したレースになりました。勝ったのは、この馬。


フサイチリシャール (Royal Chargerちゃん)
牡2 2003/4/6生 父クロフネフサイチエアデール
牝系 F.No.〔20-a〕 ラスティックベル(1990・米)来日より3世代目


今回はジャリスコライトフサイチリシャールショウナンタキオンの3頭が人気を集めていましたが、戦前の僕の予想では、どれも馬券に中心に据えにくい不安要素を持っていました。一応3頭の中で一番上位の評価をしていたのはフサイチリシャールでしたが、逃げを打って自分でレースを作った上で勝ち切るほど抜けて強いとも思えませんでしたし、ハナを譲って番手からの競馬に我慢できるかどうかも不安に思っていました(下手をすると暴走まであるかもと思っていました)。
フサイチリシャールにとって良かったことのひとつは、前日の福永騎手の怪我がたいしたことにならずに、乗り替わりなしで本番に臨めたことでしょう。また、少々ゲートの出が悪かったこともあって、案外あっさりと2番手のポジションに落ち着き、外からプレッシャーを受けることもなくそこで折り合ったのも良い結果につながったと思います。直線入り口で先頭に立つと、脚色衰えることなく逃げ込み成功。ムダに力むことも揉まれることもなく、持ち味のスピードを活かした、スムーズな競馬ができました。
一方で、来年のクラシックで期待できるかとなると、やや疑問符がつきます。軽快なスピードという武器を持っているものの、父のクロフネや、姉のライラプスのような力強さという印象はこの馬からは感じられません。精神・身体両面の成長があって、懐の深い先行力(例えば、セイウンスカイのような、、、)が身につけば、あるいは皐月賞も勝てるかもしれませんが。。。今の印象のままだと、スローペースの瞬発力勝負でもハイペースの消耗戦でも惨敗し、平均ペースでうまくハマらないと粘りこめない馬になりそうな気がします。さて、松田調教師の鍛錬を受けて、どんな馬になってゆくのでしょうか。


2着のスーパーホーネットは、鋭く伸びて惜しい2着。勝ち馬はあらゆる点で展開が向いていたので、内容としては同点に近い評価ができると思います。鞍上の内田博幸騎手は、シーチャリオット京成盃グランドマイラーズアジュディミツオージャパンカップダートと、らしくない乗り方をしていて、どうしちゃったのかな?、と思っていましたが、今回はお見事でした。(シーチャリオットも出走する東京大賞典ではアジュディミツオーの方に乗るそうですね)


3着に敗れたジャリスコライトは、スタート直後と最後の直線の2度にわたり他馬と接触する、行儀の悪いレース振りでした。レヴェルの高いメンバーが揃うレースは初体験で、しかも不向きなマイル戦の流れだったせいで、「普通の走り」ができなかったように見えました。それでも3着なのですから力を示したと言えなくもないですが、キャリアの浅い時期の番組選択のミスでのちのち飛躍しきれない馬になってしまった例があるだけに(同じ厩舎で言うとマチカネキンノホシとか、、、)、この敗戦が迷走の始まりになりはしないかと少し心配しています。