野元賢一氏のコラムを読んでの雑感

混迷の時代が始まった ポストSSの日本競馬(野元賢一氏@日経新聞ソースサラブnet)


うーんと、何が言いたいのかよくわからない。
サンデーサイレンスが亡くなって、サンデーサイレンス産駒が日本競馬を席巻する時代は終わった、次の時代をリードするのはどの種牡馬かわからない、・・・というのは、タイトルと最終段落から導いた要旨ですが、そんなことはわざわざ書くほどのことでもない。


今年の社台は昨年より戦力が落ちて、それゆえ日高の小規模の牧場からでもクラシックホースが出たという分析。だから世上の「負け組に光が当たった」「これから面白くなる」という評価に違和感がある、とのことだが、だから何だって言うのかがわからない。「負け組」の勝因も「勝ち組」の敗因も適確に考察できていないので、ただあちこちに毒をまいただけの感じ。


「官VS民」の図式で官(JRAとJBBA)の種牡馬事業を「民業圧迫」と批判しているようだけれど、利幅を抑えた種付け価格設定とはいえ、市場原理に従って(・・・市場独占のためではなく、単に人気がないので・・・)種付け料が下がっていったオペラハウスを引き合いに出す理屈がわからない。キングヘイローに至っては、その父がJBBAが持っていたダンシングブレーヴというだけで自身はJBBA繋養でもない。
「JBBA種牡馬の突然の爆発」というのは何のことなのか。テイエムオペラオーなどの名前を出すまでもなくオペラハウスは実績のある種牡馬だし、自ら「三振9回で本塁打1本」と評しているのにいまさら「突然」と驚く理由もわからない。
さしたる根拠もなく「本塁打1本」の方に賭ける生産者がたとえいたとしても、それは生産者の自由。オペラハウスやダンシングブレーヴフォーティナイナーチーフベアハートなどがいたせいで、どういう風に「民業」や日本競馬に悪影響があったのかも書いていない。(シェアを争う社台の吉田善哉氏の理屈はよくわかるが)


「社台VS日高」の図式で社台の「ポストSS」時代の層の薄さ、日高(民間)の無策を指摘しているようだけれど、これは見落とした要素が大きすぎると思う。
社台の場合はサンデーサイレンスとほぼ同時期にエンドスウィープエルコンドルパサーを失い、さらにはアドマイヤベガの早世もあって、受けたダメージは大きい。長期的な計画に狂いがでるのも仕方のないことでは。
また、次世代種牡馬として考えていたであろうジャングルポケット・タニノギムレットネオユニヴァースキングカメハメハの歴代ダービー馬、それにシンボリクリスエスも加えて皆産駒はデビュー前。これだけの大ゴマがそろって待っているのに、輸入種牡馬が少ないと何がいけないのか。お目当ての馬でもいるのか。JRA・JBBAが買ってきたシルバーチャームやバゴが輝いて見えているのかいな?!
それに確かに春の3歳GIは「日高全勝」だったが、2着はすべて確保しており、それほど悪かったわけでもない。もしもクールモアやゴドルフィンが本気でディープインパクト種牡馬オファーを出してきたとき、今年の稼ぎが少なくて社台グループの手持ちでは国内に繋ぎとめられない、なんてことが万一あったとしても、個人的にはそれならそれでも良いのではないかと思う。
日高については、10年前のラムタラ導入そして失敗の後、社台あるいはJBBAの種牡馬を代用して自前で策を講じることを怠ったみたいな書かれようだが、海外からの種牡馬導入のような大型投資を数うちゃ当たる方式でやっつける方がどうかしている。現役時はマル外だったタイキシャトルはどうも無視されているようだし、これも国内での産駒はデビュー前のワイルドラッシュだってかなり期待できると思うが、そこまで待ってはいられないっていうのかいな。


4年前、サンデーサイレンスが亡くなった時から、馬産現場でのポストサンデーサイレンス時代への動きは"本格化"しているはずなのだ。もっと言えば、"サンデーサイレンスの時代"が確立した時点で、その次はどうするかという模索は始められていたはず。「混迷の時代の幕開け」なんて、なにをいまさら。


他にも、


ブライアンズタイム産駒は今年の3歳世代が大不振で、6月5日現在、オープン馬が2頭だけとのこと。あれ、直近のユニコーンステークスは?
・お終いの方の「戦力の維持」という文言。何をどのレヴェルで維持しろっていうのか。トップクラスをディープインパクト級に毎年維持する?


みたいなツッコミはあるものの、そういうものはこのコラムにありがちなのでもういいや、と。
ただ、オペラハウス・メイショウサムソンや、キングヘイローカワカミプリンセスや、これらの関係者にとってみたら、結果的にけなされているよなぁ。かなり理不尽で、かなりかわいそうだ。


・・・


初年度産駒(現4歳世代)からニシノドコマデモ
2年目の産駒(現3歳世代)からカワカミプリンセスゴウゴウキリシマニシノフジムスメヤマタケゴールデン
以前どこかのPOGで指名していたノーヴァーチャル(4歳)は1勝しかできませんでしたが(一応現役ですが休みがち)、種牡馬キングヘイローには「時流も地の利もうまくつかめそうだなぁ(→つかめているなぁ)」と注目していました。
それで、頭の中が整理できたら何か書こうかしらんと思っていたところ、こういうものを見つけたので、殴り書きですが書きつらねてみました。