高松宮記念 回顧

「読みズバリの好騎乗」
  第38回高松宮記念(G1)  (netkeiba.com)
1 ファイングレイン
2 キンシャサノキセキ
3 スズカフェニックス

面白いレースでした。
戦前は昨秋好走したスプリンターの不在を残念に思っていましたが、終わってみると4歳馬どうしの新星による1・2着。勝ち時計の1分7秒1という時計も予想よりも半秒ほど早く、高次元のスピード能力比べが見られました。しかも、レースは平均的に高速ラップが刻まれて先行・差しの有利不利がなく、有力どころもそれぞれ見せ場をつくった濃密な内容でした。


馬券の方はかなり振りまわし気味に選んだ2頭がかたやしんがり負け、かたや快勝で、ある意味清々しい外し方でした。また、連軸候補で穴っぽいところを選んだだけに、相手にキンシャサノキセキのような人気の割りに堅実性のないタイプは選びづらく、それが「今日はやる日」とばかりまともに走ってこられたのでまったくのお手上げ状態でした。


勝ったファイングレインは中団でキンシャサノキセキをマークするかたち。前走・前々走はスタートで後手を踏んでの追込勝ちで、相手が大幅に強くなる今回も出遅れが心配でしたが、無難にゲートを出ると巧く流れに乗れました。鞍上の幸騎手は一番怖い相手はキンシャサノキセキと見ていたようですが、その強敵は先頭で3頭が並走する後ろで好位置をキープする態勢。スタートで躓いたスズカフェニックスや予想より後方からの競馬になってしまったスーパーホーネットではなく、この馬を相手と見ていた鞍上の読みは大正解でした。
直線ではいったんフサイチリシャールが単騎先頭に立つものの、残り100mあたりでキンシャサノキセキがこれをかわし、マークしていたファイングレインがゴール直前で逆転。キンシャサノキセキ鞍上の岩田騎手は「結果的に先頭に立つのが早かった感じ」と反省していましたが、いやいや充分好騎乗だったと思います。こういう発言をしてさらなる高みを目指すあたりは流石の岩田騎手ですが、今回は幸騎手が抜群に冴えていたと見るべきでしょう。


スズカフェニックスはスタートで躓いたのが大きかったのは確かですが、それが無くても勝つまではどうだったか。前をゆく有力馬たちの脚色が衰えなかっただけに、去年のような外からマクるようなレースではきっと勝てなかったでしょう。ただ、確かにスピード能力は高い。ゴール前の脚は強烈でした。
マイネルシーガルはスタート直後からスプリント戦のペースに戸惑った感じで、追走に精一杯。能力云々よりも「慣れ」の部分でレースに参加できなかった印象です。この馬とファイングレインとは、府中の芝マイル重賞(スピードとその持続力の両方を問われる)で連対経験のある4歳馬ということもあって注目馬に選んだのですが、こちらはダメでしたねえ。ただこの物差しが的外れかと言うと、今回の1・2着がNHKマイルカップ2・3着馬で、3着スズカフェニックスと4着ローレルゲレイロ東京新聞杯の勝ち馬なので、実は意外と使い回しがきく指針かもしれません。


おしまいにもう1頭印象に残った馬について。
今回のレースを面白くしたいちばんの立役者はフサイチリシャールだったと思うのですが、レース中の故障で引退することになってしまいました。
ここのところはハナをきることもなく凡戦が続き、それゆえ僕もノーマークでいたのですが、前走から手綱をとった川田騎手と共に今回は積極的な先行策を敢行しました。流石はG1ホースというスピードを発揮し、重賞連勝中のローレルゲレイロのマイペース逃げを決して許しませんでした。最後の直線で抜け出した時には「これはやられたかも」と思ったのですが。。。