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東京のある街でおきた不幸なできごとについて

7医療機関で拒否、妊婦死亡=脳出血、1時間たらい回し−東京(時事通信)


去年のことだったと思います。
錦糸町でお産ができなくなるかも、と聞いてびっくりした覚えがあります。
「できなくなる」というのは誇張のある表現ですが、妊娠初期の時点で産科のベッドを確保しておかないと、病院の受け入れ能力の都合で、通常分娩の場合でも遠方まで行かなくてはならないかも、といったことです。


ここ数年・・・長男と次男の誕生という時期だったので、産科に関する報道に関心を持って見聞きしていて、お産をする環境が急激に悪化しているのを認識していました。
奈良県の大淀病院の件や、福島県の大野病院の件、等々。。。
我が家の場合は東京に住んでいるので、まだ、病院を選べているけれど、いずれこの影響はこちらまで来るのだろう、と予想はしていました。
ただ、それは都心ど真ん中の商業地か、山梨県境に近い西多摩の方から始まるもので、自分の住んでいる都下の住宅街ではまだまだ先の話と思っていたのです。


ところが、いきなり錦糸町。
近年、あの辺りでは新築高層マンションが次々建設され、人口が増え続けているところです。
駅前にあるアカチャンホンポには僕も何度か行ったことがあり、若い人の多い街という印象。
そこでダメというなら、もう大丈夫なところを探すほうが難しい。


この話の論拠のひとつになったのが、一昨年秋に都立墨東病院の産科が、医師不足で規模が縮小されたこと。
今回妊婦さんが脳内出血で亡くなったまさにその病院です。


この環境下で、土曜日の夜というタイミングで、突然脳に疾患を発症した妊婦さんが、かかりつけの産婦人科に行ってしまったってところでもう、医療の責任を問うのはどうかと思います。
最寄の大きな病院(墨東病院)の産科の当直が研修医ひとりだったというのは更に不運ですが、この日だけ特別な体制だったわけではないとのこと。
報道を見る限りでは、不幸にもそうなってしまったら、もうどうにもならない、、、と思います。
せめて午前中に、とか、産婦人科でなく総合病院に行っていたら、とか考えてしまいますが。。。


マスコミはまたしても「たらいまわし」という言葉で医師の怠慢を印象づけようとしているようですが、それは間違いでしょう。
法と判例によって受け入れができないと、病院が判断したまでのこと。
適切な治療を行うための情報・設備・人員が揃わない状況で患者を受け入れて、もし不幸なことになれば、裁判で負けてしまうのです。
これ以上理不尽な医者叩きが続くようなら、産科だけでなくすべての医療がまともに受けられなくなるのは必然かと思いますが、かの「第4の権力」は何を思っているのでしょうか。


長男が生まれたときに家内が具合を悪くして入院していたときのこと。
昼食のころに担当の先生が病室に顔を出して、
「今日は当直なのでいったん帰ります。○○先生がいますので何かあったらそちらに」
といって出てゆきました。
2時間後、私服姿の先生がやってきて、「具合どうですか?」
書類仕事が残っていてまだ帰っていなかったようなのです。
思えば前日も、その前の日も、朝も晩も病院にいらっしゃいました。
何十時間病院にいるの???
そんな先生が、もし「たらいまわし」などと言われて病院を辞める気になったとき、僕には引き止める言葉なんてないです。