例年通り、選考対象は2020年中に国内で1走以上した馬です。
年度代表馬 グランアレグリア(4戦3勝 安田記念、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップ)
今年は3歳馬に牡牝ともに三冠馬が生まれ、春秋グランプリ連覇、G1通算9勝などなど、抜きんでた活躍馬が複数誕生した年でした。ベストレースをダービーとすればコントレイル、ジャパンカップとすればアーモンドアイが今年を代表する1頭になるのでしょうが、個人的には今年一番唸らされたレースはスプリンターズステークスだったので、ここに選ぶのはグランアレグリアとなりました。スプリンターズステークスでの「次元の違う」末脚が何より印象的。また安田記念で破った相手が、アーモンドアイ・ノームコア・ダノンスマッシュはじめ、今年活躍した面々だったというのも好印象。
牡馬混合の芝中距離重賞ばかり5戦走って3勝、うちふたつがグランプリという見事な戦績。上がりのかかる荒れた芝に強いという長所を活かしたローテーションを組まれていることもあるでしょうが、ここぞというところで牡馬以上の馬力を見せる靱性が光った牝馬でした。半姉のノームコアが香港カップを勝ったので、母のクロノロジストはさしずめ年度代表繁殖牝馬といったところですね。
敢闘賞 アーモンドアイ(4戦3勝 ヴィクトリアマイル、天皇賞・秋、ジャパンカップ)
昨年は暮れの香港遠征を熱発で回避し、有馬記念へ目標を変更して敗戦。今年はまずドバイ遠征から香港へ転戦する予定が、コロナ禍でレースが中止になる不運。決して順風満帆な1年ではなかったと思いますが、引退レースのジャパンカップをはじめ国内で3勝、ターフを去るその日まで中央競馬の看板であり続けた馬でした。JRAでG1タイトル8勝、ドバイデューティーフリーを加えて9勝。しばらくは破られそうにない記録ですね。
技能賞 デアリングタクト(5戦4勝 牝馬三冠)
アーモンドアイ以来の、なおかつ史上初無敗での牝馬三冠馬。三冠レースでは特にオークスの勝ちっぷりが印象的で、他馬の徹底マークを振り切っての戴冠。ジャパンカップで先着を許したコントレイルではなくこちらを選出したのは、このレースによるところが大きいです。
コロナ禍で無観客開催になったりするなどたいへんな年になった一方、アーモンドアイの引退、関東のリーディングジョッキーに22歳の横山武史騎手がなるなど新旧世代交代が感じられた今年の競馬でした。
『国内1戦以上』という条件から外れているので選出できませんでしたが、この情勢の中で中東・欧州への長期遠征を敢行したディアドラにも心からの賞賛を。
2021年に期待する馬は、まずサトノフラッグとサトノレイナスの兄妹。兄はクラシック無冠に終わりましたが、この秋は春よりもずいぶん良くなったように見えたので、来年は楽しみ。それからディープボンドにも期待。コントレイルのための潰れ役で終わるのは勿体ないので、まずは金杯で伸び伸びとした走りを見せてもらいたい。
それでは良いお年を。