菊花賞 注目馬

今回の菊花賞には、最近の菊花賞の傾向と同じく、純ステイヤー・タイプの馬は出走していません。また、2600m以上の距離のレースへの出走経験のある馬もいません。序盤からスローで流れて、上がりのスピード勝負になるのはほぼ確実だと思います。その上がりのスピード勝負でこれまで他の馬をまったく寄せつけなかったディープインパクトは、今回も最有力、3冠達成の可能性もかなり高いでしょう。


ディープインパクトは過去6戦6勝、すべてのレースで上がり3ハロンを最速で走破しています。前走・神戸新聞杯で上がりタイム2位とは0.7秒、前々走・ダービーでは1.0秒(ともに推定)の差をつけています。残り600mで6〜7馬身前にいる馬が、上がり2位の脚を使っても、(おそらく余裕をもって)かわせる計算です。


ただ、どんな名馬といっても、2000mを走ってきた上で、ハロン11秒前半を5つ並べるのは容易ではありません。このディープインパクトに立ち向かう為に、淀の坂を下ったところ(残り600m)からスパートするのではなく、坂の頂上、残り800m地点からスパートして、ディープインパクトに4ハロン45.0秒前後の脚を要求し、なおかつ自らがバテずに走りきれば、まさかがあるかもしれません。(ディープインパクトの優位は揺るぎませんが。。。)


今回、ハナをきりそうなシャドウゲイトピサノパテックの鞍上は佐藤哲三騎手・岩田康誠騎手です。いずれも、タダでは負けないという気持ちが人一倍あふれていそうなファイターです。特にピサノパテックの岩田騎手は昨年、ロングスパートから菊花賞を制しています。今年の菊花賞も、レースが動くのは坂の上、残り800mからと予想しました。


さて、ディープインパクトに迫る注目馬、まずは前述のピサノパテックです。道中前目につけられるスピードと体力は大きな武器です。近親にビッグバイアモンスティルインラブと大物がいるのも魅力的です。


それから前走直後から安藤勝己騎手の強気コメントが目立つローゼンクロイツ。距離面の不安はありますが、ハマれば1400m戦でも長距離戦でも同じ脚が使えるのがローザネイ一族の長所、あなどれません。


個人的にデビューから応援しているアドマイヤフジは、騎手のゴーサインに機敏に反応できないので、おそらく残り800mでレースが動いてもついていけないと思います。ですが、この馬にはそれが意外と良い方向に転がるのではないかと思います。600mならば素晴らしい末脚が使えますから、早仕掛けの他馬をまとめてかわすシーンが見られるかもしれません。


勝ち時計が遅くなれば、マルブツライトに浮上の目があります。持久力ならこのメンバーでも上位でしょう。大久保正陽調教師には最後のクラシック、松岡騎手にとっては師匠・前田調教師の弔い合戦。力も入っていることでしょう。