菊花賞 注目馬

ウオッカ不在で混戦と目される菊花賞
今年の菊花賞はここ数年とは違った傾向が見られます。中長距離の芝レースで実績のある馬で、できれば先行してペースを握りたい馬が複数いること。ダービーで今回出走メンバー中最先着だったアサクサキングス、上がり馬ホクトスルタンマンハッタンスカイ皐月賞で行った行ったの1・2着だったヴィクトリー・サンツェッペリンや、セントライト記念の勝ち馬ロックドゥカンプ、条件戦2連勝中のブルーマーテルあたりもできれば先団につけたいところでしょう。
昨年、アドマイヤメインが1000m通過58秒7、2000mを2分2秒2で逃げ、上がり1000mを59秒8でまとめて3着に粘っています。レコード決着の原因になったこのハイペースの逃げですが、これは単騎で行けたからこその作戦でしょう。数頭の集団でこのペースで引っ張ったら、終い踏ん張って3着に粘るようなことは相当に難しいでしょう。
どうしてまあ今年は突然にこんなメンバー構成になったのかといえば、サンデーサイレンス没後、上がりの鋭いタイプの中距離馬の割合が減って、体力自慢のタイプが中距離戦を勝ちあがれるようになったのかなぁなどと想像もしていますが、それは今は置いておいて。いつもは「折り合い」と、「どんな決め手(距離・スピード)を使えるのか」、それに血統面での長距離戦適性の裏づけを重視して菊花賞の予想をしているのですが、今年は加えて「騎手の道中ペース判断」という要素が大事になってきそうです。


かつて、マンハッタンカフェやファインモーションも勝った阿寒湖特別の勝ち馬ホクトスルタンは、このレース(札幌芝2600m)をテン35秒9で入り、中盤ペースをぐっと落として、上がり3ハロン11秒台連発(35秒2)で逃げ切りました。折り合いがついてチェンジオブペースが利き、鞍上とのコンビも3戦目、しかもその鞍上がここ4年菊花賞連続2着の横山典騎手ですから、例年ならば是非とも買いたいところですが、今年は楽に単騎逃げと行かせてもらえるのか半信半疑です。テンにある程度行き脚をつけて巧く単騎の形に持ち込めれば、前に行く馬の中ではこれがいいかなと思うのですが。。。


中心視するのは6月デビューの新星、デュオトーンです。
まだソエを気にしているほどの成長途上の馬ですが、5戦3勝で底も割れておらず、こと長距離戦に限れば2400m以上の芝レースで3戦2勝と、メンバー屈指の実績をすでに挙げています。母の兄弟にタイキフォーチュンタイキダイヤタイキリオンとスピードホースの名前が見えますが、配合的にこの馬にとってはベストは2000m以上の中長距離戦でしょう。
近2走はいづれも接戦で、着差だけ見れば辛勝という感じですが、直線前が塞がった状況から進路をこじ開けて鋭進した内容は出色。これならば3000mの淀のコースでも馬群の中でしっかり脚を溜めることができそうです。
一方では、"究極の上がり勝負"といったレースをやっていない為、淀の高速馬場でそういう展開になった場合はどうかというのが心配ですが(ここまでの5戦は洋芝の阪神・函館・札幌)、今年の先行馬豊富なメンバー構成ならば、後ろの馬も相応に道中脚を使うような展開になるのではないかとみています。
血統背景・距離実績・脚質・鞍上の力量と併せて判断して、この馬を最上位評価しました。


相手筆頭はアルナスライン
こちらは春にオープン特別の勝ちクラがあるものの、骨折でGIには出られなかったという馬。秋初戦は古馬相手の京都大賞典インティライミポップロックに続く3着。前走後は心配された反動もみられないということで、穴人気になっている1頭です。
戦法など、競走馬のキャラクター的にはデュオトーンと似たところがありますが、鞍上への評価と、京都大賞典のレース内容への評価(メンバーは充実していたと思いますが、勝ち馬含めてレース内容は案外良くなかったと評価している)の差で、わずかにこちらを次点に。あと、530〜540キロ台の大型馬なので、やはり骨折休養あけ激走の反動が心配で、これはパドックを見て判断したいところ。


この2頭が本線。


あとはトライアル神戸新聞杯から惨敗した組を。
ゴールドキリシマがハイペースで引っ張り、離れた2番手のホクトスルタンもつられて(この馬にしては)早めに中盤まで流れたために、"中距離戦の流れで"好レースになったこのトライアル戦。ラップの緩急の少ない展開で、GIで1着・2着の戦績のある3頭が消耗戦で上位を占めたのは立派なところ。とはいえ本番は淀の3000m。好位置を占め、脚を溜め、終いに爆発をさせるといったことが重要な菊花賞ではこの順番がガラリ一変となっても不思議ではないでしょう。
血統背景を参考に3頭ピックアップ。
青葉賞勝ちのヒラボクロイヤル京都新聞杯2着のローズプレステージはこの距離での巻き返しに期待。
最後にフサイチホウオー。春は主役級で、皐月賞3着の馬を"穴狙い"するというのも不思議な感じだけれども、個人的に毎年菊花賞で重視している「皐月賞の3,4コーナーで楽にポジションを上げることができた馬」がこの馬なので、この人気凋落ぶりは逆に買いどころとみて狙ってみたいです。


パドックをみて変えるかもしれませんが、今馬券を買うなら、本線2頭と神戸新聞杯惨敗組の計5頭のボックス、それに本線2頭からホクトスルタン・ブルーマーテル(ロングスパートが魅力)への流し。